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2011年1月28日 (金)

『体感、実感!にっぽんの名城』で馬出しが語られました。

歴っしゅ!
27日は、千田先生と歴っしゅ!美甘子さんの『体感、実感!にっぽんの名城』第4回を拝見しました。
今回は、25分丸々、尾張名古屋城を歩くの巻。
絵図を観ながら今とは違う名古屋城の初期プランを探ろうという、少し学術的な内容(^^
国立公文書館データベースからダウンロードしたデータをiPadに入れての城歩きです。
と言っても、アナログな方は学研か新人物往来社なムック本に収録されている城絵図コピーでもいいとは思いますヨ。

最初は、名古屋城の石垣を観ながら、西国大名を中心に石垣を運んで築いた名古屋城天下普請について。
家康さんの天下普請は、一般的には豊臣恩顧の西国大名を疲弊させるための「容赦なき軍役」と言われています。
けど、朝鮮出兵を経験した西国大名や慶長期に西遷して新たに築城した大名の方が城郭普請に手慣れていることを思えば、
土塁に石垣を張る程度の東日本の大名に石垣普請させるよりも、天下普請を彼らにやらせるのは当然のことと思います(^^ゞ
また、西国大名は過酷な朝鮮出兵直後も関ヶ原の内戦に参戦し、新たに得た領国にも新規に本城・支城を築き続けていたことを思えば、
キッツイ軍役だったとは予想されますが、潤沢な収入をもとに残業を厭わないエリートのように軍役をバリバリこなしたことと思います。

もちろん名古屋城ですので、「加藤肥後守 内小代下総」という有名な刻文のある天守台算木の石材も紹介されていました(・∀・)
現地行くとわかるのですが空堀に面して潅木があって、実に撮影したり見づらいのが難点(^^
ちなみに、小代氏は加藤の重臣。もともと肥後国衆の出自で、今の荒尾市辺りの国人領主です。
そんな彼も加藤氏に仕えてバリバリの織豊系城郭技術を使いこなしていたわけですね。

その次は、表二之門前の今は一部が埋められてしまっている「幻の馬出し」についての解説。
門の前に空堀を回して出丸のような防御空間をつくり、両側面に細い土橋の通路を設けて出入り口とする工夫が馬出し。
名古屋城では馬出しに雁木をつけ多聞櫓を廻して橋頭堡にしたことや東側の土橋には外側から横矢掛かりが効く工夫を紹介されていました。
「桝形虎口」と並ぶ近世城郭の出入り口である「馬出し」の工夫について、千田さんが丁寧に解説。
平地の近世城郭によく見られる「馬出し」も熊本城でみた桝形虎口同様に我々の業界?では一般的に語られますが、
「馬出し」がその仕組みと共に、テレビで当たり前のように語られるのも、多分今回がはじめてのことでしょう(^^
これまで隣接する人文領域から「城オタクの用語」と揶揄されてきたことを思えば、城郭研究者にとっては実に感慨深いことですね(^^ゞ

そして、千田さんが最近論じられている、《なごや御城惣指図》にある名古屋城天守の初期プランのお話。
天守から本丸への桝形虎口と、御深井丸に出入り口をどう設定するかで大天守から小天守を介して木橋で虎口をこしらえるプランです。
確かにスゴイんですけど、この案がボツになったのはコチャコチャしすぎてうっとおしいからじゃないかと勝手な想像。
名古屋城は、空堀と石垣の遮断効果を重視して直線的な塁線の多い技術的に合理化されつつある段階の城郭で、
初期の織豊系城郭仕込みの実戦的なコネコネしたプランが精査されていく時期にあります。
たぶん、当初のプランを考えた技術官僚(武将)は、徳川氏テイストの期待に添うような「実戦色プラン」を書いたような気がします(^^ゞ
コレって、浜松城とか初期江戸城のコネコネしたプランが多い徳川氏サイドが「これは、スゴイ」と言いそうな感じしません?
でも、豊臣恩顧の西国系な方々が「そんなカッコ悪いことしなくてもサッパリやった方がいいだろ」でボツったのかなと思いますσ(^_^)。

最後は、意外に忘れられている三の丸の外構えと今は道路になっている城門跡まで触れられました。
実は案外残っているんです。そして道路の折れが実は桝形門の痕跡だというのも紹介されていました。
従来はあんまり言及されない部分までしっかり押える視点を出されるのも、千田さんが講師だからこそ。
絵図を持って城下まで歩くと、外堀と城門や惣構えまで見て回れるというお城歩きの秘訣で締め。

今回の馬出しを含めて、1〜4回の中で様々に城郭関係用語が紹介されてきました。
城門に注目→門、桝形虎口、馬出し、石垣、天守・隅櫓……この辺を押えておくと近世城郭の城歩きが本当に面白くなります。
もう一度おさらいしておくと良いと思います(・ω・)ノ
それにしても毎回、濃密な25分間です。
あらためて、千田さんの解説で「学術的な城郭研究で共有されている概念」が広く紹介される機会が得られて本当に意義あるなあと思う次第ヽ(・∀・)ノ

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