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2007年3月10日 (土)

BEPPU PROJCT 山出淳也さんの講演を聴いてきました

P1070100_2 てなことで、予告通りにJAAM九州部会の研究会に出かけてきました。
BEPPU PROJECT(ベッププロジェクト、以下「BP」)代表の山出淳也さんによる
「BP」についてのお話を伺う絶好の機会です、行かないはずがありません。

最近は都市部に出るのに可能な限り車に乗らないスタイルを採っているので、大分へは豊肥線。
往復2500円で、90分×2の移動オフィスが得られます。揺れがあるので文字は書けませんが、読書もレポート入力も寝ることだってできます。呑んでも乗れます(笑)

で、列車内ではiPodshuffleで曲を聴きながら、喜々としてPowerBookでレポート入力。
文化庁芸術拠点形成事業に、無謀?にも申し込みするので事前説明会にもっていくたたき台を制作しました。
学芸員2名の萬鉄五郎美術館でもこれだけのモノができます!と京都で説明を受けたこの事業。さて学芸員1名+αな我等が館でも受託できますのやら。

そんなこんなで大分駅に着いてバスで上野まで行って芸短到着。
しかし、聴衆は少なく春休みもあってか学生が少ない!!!どういうことでしょう。
生のアートマネジメントの現場にあるアーティストに直接聴く機会なんてそうそうないのに、もったいない。
正直、JAAM九州部会ではじめてじゃないかな?現場最前線な方のお話って。。。

山出さんのお話は文字通りアートマネジメントの現場そのもの。
MacBookでKeynoteで作成したスライドで
、別府市の考察から、なぜ「BP」を行うのか、何を目指すのか、そして05年・06年と何を積み重ねて07年、そして08年の国際芸術フェスティバルへ向うのか、その後に何を見据えているのか。。。その上で現在進行中のプロジェクト案内も含めて、60分程度の時間に凝縮させた濃密なプレゼンでした。

興味深かった点をいくつか挙げると、
まず。別府市についての考察。12万人があの狭い斜面の都市域の中に凝縮している都市が他にあるか?湯けむりのたなびく都市が他にあるのかと常々思っていたのですが、「湯けむり」(地質学+地理学)「移民文化」(歴史的文化的特徴)「混浴(人々が入って共有する出入りする場所)」(理念的特徴)で捉える視点を設定されていました。海外で活動される方らしく、切り口がロジカルでクールです。

そして、文化芸術の鑑賞機会の充実(多分、啓蒙)→文化による交流の推進(多分、コミュニケーションの形成です)→文化を支える人づくり(多分、サスティナブルな環境育成と思います)という流れをプロジェクトの軸に据えていること。そしてアートを経済事業と捉えるクリエイティブインダストリー(創造産業)と位置付けて概念の啓蒙・普及とマーケット創出を意識される発言が印象的でした。

大分では2002年のワールドカップ&Jリーグのようなトップダウン的スポーツ政策があったけど、それと同じようなスケール相当の事業を08年向けて別府で裾野から行おうというのはスゴイこと。
02年のような政策レベル以外の地域レベルで、この水準の視点からアートを捉えている人は稀少ではないでしょうか。02年には大分市美がアート循環系サイトという希有なアートフェスを敢行したものの受入れられなかったように、山出さんの視座を共有する人が大分県内にどれだけいるのかと思うと憂鬱ですが、わたしを含めて08年をどう感じ、何ができるかワクワクする気持ちを持てるかが問われているような気がしました。

とあれ、最近、ようやく?高城剛氏の本を読んだこともあって非常にすんなり受入れられるタイミングだったのもあって非常に興味深く拝聴できました。

フランスのナント市では市庁レベルから文化政策が産業育成策として進めて産業転換を果たしたことを紹介していましたが、そのキーマンを別府市に呼ぼうと進めているフットワークの軽さにも驚き。秋のシンポジウムが楽しみです。スピードと次の一手を見据えた事業展開は大いに参考になりました。○○年までにこれをすると近い未来を掲げて衆目を集め、自分には○×年にはこれをできるようになる、とステップを明確に自分に課して動く姿勢も学ぶところが多いです。

「BP」の詳細はホームページをみていただくとして、活動を「自分たちのための文化をこの場所でなければ意味がない方法によって実現しようとする活動の総称」と定義づけている点はアートイベントと化する現在の文化事業に対する「BP」なりの独自性の意識づけになっているような気がします。こうした視点を用意できる山出さんは大分県では本当に希有な人に思えます。希有に思えることが大分県の問題としても。

最後に「BP」そのものがアートである何かと何かをつなげて新たな価値を創る創るのは出会う場所であると位置付けて締めくくられていましたが、「BP」そのものが山出さんの別府市民いや大分県民をまきこんだワークショップ、すなわち取引の場(マーケット)を創る足がかりと啓蒙・地ならしのためのワークショップであると感じさせるものでした。

質問で伺ったのですが、08年までが第一章とし、その後に第二次を見据えて活動されている「勘」のするどさは、大分県内にとんと聴かないレベル故に、うならされるものがありました。

あと幾つか質問したのですが、面白いのは資金調達で米英のカウンシルなどの助成は受けやすいけれども、一番難しいのが大分県・別府市ということと、文化予算ではなく観光事業の助成で得ることが大分県や別府市からの資金調達の足がかりになったという点。

思えば、文化予算は教育委員会では「教育予算」になるので、アート事業などのイベント性のあるものとしてはつけにくい性質を持っている。むしろ観光やトップダウンのまちおこし事業・地域振興事業として予算からの方が手厚くつくのは案外知られていない。企業メセナも同様。
その意味では、行政との関わりもアートは常に教育委員会な「教育予算」から獲ることを自明としてきたけど、本当はクリエイティブインダストリーを前面に打ち出し、産業育成から市長部局の「事業予算」をねらう姿勢をみせた方が賢明なのかと再確認できました。

今回のお話では、クリエイティブ・インダストリーを地域の産業政策として取り込むべき時期に来ていること。それを地域性に則してどう普及させるべきかは工夫が問われること等学ぶことが多く、自分が現時点で考えていることがどんな位置にあるのかがわかって大きな収穫がありました。
自分の課題は如何に行動と結びつけられるか?議論はどうしても抽象的なものになります。実際の活動と関わることで善かれ悪しかれさらに学ぶ視点は深まるような気がしました。

いずれにしても2008年の
「BP」は2002年のワールドカップと同等くらいに要注目ですよ、県内のアート関係者のみなさん。九州をクリエイティブ・アイランドとするためにも、この波に参加して乗り遅れないように、急いで急いで。
とはいえ、一番乗り遅れそうなのが、行政とメディア。それと博物館行政な気がするけども。。。

Foxkeh! フォクすけ!


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