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2006年7月 8日 (土)

WM2006ドイツの旅、DBな新幹線は在来線も走る

P1080683 ドイツ鉄道の最も速い特急ICE。最高時速は300Km/hと新幹線並みのスピードが出る。「インターシティーエクスプレス」という名称は日本で最も美しい特急を走らせるJR九州のコンセプトと一緒のようにDBは高速特急で都市間をつなごうという意識が強い。
そんな高速能力を誇るICEですけど、走るのは主に在来線。
日本の感覚で言うと東北本線や北陸本線、山陽本線など〜本線系の直線主体の線路を新幹線が爆走する感覚に近い。最もスピードはだいたい200Km/hと在来線特急並みに抑えられるのですけど、ベルリン〜ハノーバーやフランクフルト〜ケルン間などには専用高速線(所謂日本での新幹線みたいな線路)ができていてこちらは高速性能をフル回転している。

で、こんな芸当がなぜできるかというと、鉄道ファンならご存知の通りDBは広軌の線路(1435mm)で統一されているためである。おかげで車内が広く取れてゆったりしたインテリアが演出できる。また直線的な線路敷設がなされているため高速鉄道と在来線が一体化した鉄道網が建設されたため非常に乗換えに便利だし、各地を文字通りインターシティーエクスプレスがつなぐことができている。
今回もジャーマンレールパスを使ったのだが、ICEからRE(リージョナルエクスプレス→快速)まで同じプラットフォームで自在に乗り換えることができ大変便利でした。

Tsubamew_1 これに対して、日本では、旧国鉄や南海など古い鉄道は狭軌の線路(1067mm)で建設され、その後昭和頃から都市間高速鉄道を標榜した阪神・阪急などの私鉄が広軌で建設されてきた歴史がある。中には狭軌から広軌へ変更した会社もあるが、最も大手な旧国鉄は狭軌のまま変更されていない。そこにプロジェクトマニアでおなじみな高速鉄道計画として新幹線が広軌で建設されることになったために、広軌の新幹線と狭軌の在来線・在来線特急が別々に路線網をつくる結果になっています。

今回ドイツへ行って乗り比べてみて、日本における新幹線・在来線特急の分け方は世界的にみても効率性からみてもあんまりいいアイデアではないということを痛感しました。
理由は次の二点。
1)新幹線が高速運転に特化したため、高速鉄道事業に特化された経営でしか使えないこと。
2)
新幹線と在来線の一体化を図り、需要に応じて線路の高速化を図った方が全国の線路網整備では効率的であること。

一つ目の問題は、新幹線が高速化に特化したため、例え在来線を広軌化してもそのままでは使い勝手が悪いと言うことです。また高速線でなくても性能が発揮できると言う方式でないことは、融通が利かないという非効率さを発揮してしまうことにもつながります。
世界で日本の新幹線が売れずドイツなどの仕様が採用されるのは、政治的なものもあるでしょうけど高速特急の汎用性の低さがあるのではないかと思っています。ICEと新幹線では座席のあり方を含めてサービスを創る「発想」が違いました。ある意味、目からウロコでした。

二つ目に新幹線が別系統という方式は、今日おそろしいまでに不効率な鉄道網整備をもたらしています。
おおよそ日本の骨格である東京〜大阪間などの新幹線が出来るまでは専用高速線による新幹線はそれ専用の需要と合わせて十分ペイできるものでした。
ところが各地で新幹線建設=地域の活性化と誘致運動をやらかして整備新幹線を利権化したことで、ペイできないところまで専用高速線による新幹線が求められてしまいました。その結果、柔軟な高速化計画がないまま整備新幹線ありきで全国の鉄道網整備が進められています。
P1030548Hisatusendai_1 秋田・山形新幹線のように在来線と高速線をドッキングするアイデアが出ても、結果として新幹線が高速専用線での運転を軸としたデザインであること、在来線の広軌化という方向に結びつかなかったことで、その後は北陸・東北や九州新幹線のように在来線の廃止を代償に高速線を建設するという本末転倒な事態に陥っています。また新幹線駅も新○○のようにターミナル駅から離れて郊外に出来てしまうため、そこに到着しても在来線や公共交通とのネットワークが悪いという問題があります。田圃の真ん中に巨大新幹線駅ということになり、無理に駅をつくるかどうかで揉めないと行けない、またつくったものの借金だけが残るという顛末もあちこちでみられます。

こんなことはDBの運転の方式をみれば、新幹線建設よりも在来線の広軌化・直線化による高速運転を整備すれば十分対応できることなのです。地方の幹線は古くに整備されたためたいてい直線主体の線路が多くあります。そんな資産がありながら2,3両の在来線(或いはJRに切り捨てられた三セク鉄道の)車両が走り、その側に超豪華な直線専用線による新幹線が7〜12両で走るというお馬鹿な絵面が我が国の不幸な鉄道事業のあり方をみせています。同じ高い建設費を払うなら、線路の高速化で高速運転と在来線ニーズを共有すればいいのに、別に線路をつくって高速線経営と在来線経営に分けてしまうのですからバカでなければなんでしょう?
複数の形態を結びつけて有機的なネットワークを創るという発想が鉄道にたずさわる者になかったのは痛い話しと言えます。今は生き残りをかけてネットワークを解体して使える線路だけ残す縮小再生産を重ねているのが貧困な鉄道事業の顛末です。

ドイツも自動車大国ですから鉄道は生き残りに必死です。地方鉄道や観光鉄道を子会社化して経営のバランスを図るなどいろいろな工夫をしています。それと比べてみた場合に日本の鉄道については新幹線、在来線、郊外鉄道、市内鉄道の区別があまりに縦割りすぎて、それぞれをネットワークして経営しようと言う発想がまるでないように思えます。
都市部では、アーバンネットワークなどJR西日本の合言葉にせず、都市内鉄道事業連合をつくるなどすれば乗客の配分などきめ細やかな経営ができるというのに、結果としてはパイの横取りをやってほおばりすぎて脱線事故を起こしたのがJR西日本の醜態でした。
一方、地方では単体で採算のとれない地方線路の高速化は、新幹線建設よりも在来線の広軌化と直線化による総合的な機能強化と高性能車両の導入が一番効率的です。骨格を成す新幹線は整備されているので、今度はそれと在来線を組合せた線路網の整備を行う段階にあると言えます。ドイツの真似をするのではなくそうした「発想」を盗めということです。
長崎新幹線などのように、新幹線導入か在来線切り捨てかというアホな議論を求めるJR各社や新幹線整備を受け持つ国交省は一度欧州の鉄道を乗ってみてはいかがですかね?
多分にそうしたシステムの違いを理解するよりも「ウチのほうが礼儀がなっている」とアホな勘違いしような気もしますが。。。本当に彼ら鉄道のトップは列車を知らないと痛感したのが今回の感想です。

あちらのトップは自分たちの雑誌の中で自分たちのスタッフの働きを紹介していました。それに対して、鉄道にたずさわる日本のスタッフは、「鉄道の作法」を知らないアホなトップたちに「礼儀作法」で縛られ、使えないサービスに苛立つユーザに煽られて笑顔に精気がありません。
「鉄道の作法」も知らず田舎線路網を切り捨てつばめレディに訳わからないお辞儀で車両のお出迎えをさせる国鉄官僚モドキなトップが大きな顔をするのがこの国の鉄道事業の不幸と言えます。祝日に日の丸を掲げて利用客に喚起したいとホザク前に、我が国の鉄道事業が生きるためのシステムデザインをつくる義務を果たしなさい、と申しておきたい。このままでは百年後には日本の鉄道は崩壊してしまう。自分たちのシステムデザインの発想の貧困さを「おもてなし」と称したスタッフの礼儀作法でデコレートするのはやめてもらいたいもの。
私たちはスタッフの作られた笑顔で迎えられてもうれしくありません。使い勝手のよいサービスを考える姿勢を感じることの方がよっぽどうれしいです。

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